HIDランプの特性(寿命、温度、調光など)
残存率と光束の変化
HIDランプの寿命
- 「寿命」=安定して点灯しなくなる迄の時間
- 「定格寿命」=多数のランプを「11時間点灯し、1時間消灯する連続繰り返し試験」という条件で試験点灯し、この時の平均的な寿命時間を指す。
- 「残存率」=始めに点灯したランプ数に対する、その時点(上記、繰り返し試験で割り出した「寿命時間」)でまだ点灯しているランプの比率
HIDランプにおいて「定格寿命」と「残存率」の関係は、「残存率」が約50%になる時間を「定格寿命」といい、定格寿命時は約半数のランプが不点灯になることを意味します。 また、点灯中の明るさ(光束)の定価の割合は小さい順に高圧ナトリウムランプ窶ケ水銀ランプハイド窶ケメタルランプとなり、高圧ナトリウムランプが一番長持ちします。メタルハイドランプでは、演色性を高めるために金属ハロゲン化合物の放電を利用しているので、残存率や光束維持率が他のタイプのHIDランプより低くなっています。特に始動電圧型メタルハイドランプでは残存率、光束維持率は低くなっていますが、演色性とランプ効率が優れているという特長に加えて、水銀ランプ用安定器で点灯できるという経済性も兼ね備えています。 こうしたランプの特長を踏まえて照明の目的や場所等の使用条件に合わせたランプの使い分けを推奨します。
点灯方向特性
水銀ランプと高圧ナトリウムランプは、点灯方向は任意ですが、メタルハイドランプには点灯方向を指定しているものがあります。また、メタルハイドランプは点灯角度により、光束が多少変化します。
周囲温度特性
HIDランプは、蛍光ランプに比べて、周囲温度によって明るさは影響を受けにくくなっています。点灯については、温度が下がると水銀ランプ、メタルハイドランプではやや点灯しにくくなります。
始動・再始動時間
高温を必要とするHIDランプの特性上、電源スイッチを入れてから明るさが安定するまでに5〜15分程度必要です。尚、器具内にランプを入れた場合、再始動時間が長くなることがあります。
調光
水銀ランプと高圧ナトリウムランプ及びネオセラ100W、250W、400Wには、調光用安定器を使用して明るさを50%まで調節できるものがあります。 しかし、一般的にメタルハイドランプの場合、金属蒸気の蒸発温度が高い為、出力を下げて調光することはできません。但し一部に調光可能なタイプもあります。(東芝ライテックEB−ネオハイドライト2など。)
HIDランプ用安定器
HIDランプはほかの放電ランプと同様、ランプのみで点灯することはできません。ランプ電流を適当な値に制限し、安定した点灯をさせる為に必ず適合した安定器が必要です。(チョークレス水銀灯は除く。)安定器にはランプの種類、ランプ電力、電源電圧、周波数に対応して、
など多くの種類があります。それぞれの目的・用途に合わせてお選びください。
種類 |
特長 |
適合ランプ |
一般形低力率 |
- 回路構成が簡単な為、小形・軽量で価格的にも有利です。
- 電源電圧変動の少ない、電源及び配線容量に余裕がある場合には、最も経済的です。
- 低力率形の入力力率は50〜65%です。
- 消費電力が他品種の安定器に比べ、小さい安定器です。
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一般形高力率 |
- 低力率安定器に力率改善用コンデンサーを内蔵し、入力力率を高力率にしました。
- 高力率形の入力力率は85〜95%です。
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- ツインネオルックス
- ネオアーク
- ネオカラー
- 水銀ランプ
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低始動電流形 |
- 始動時入力電流が一般形安定器と比べて少なく、安定入力電流に対し120〜130%の低始動電流特性を持っています。その他の特性は、一般形と同様です。
- 電流及び配線容量に余裕がない場合に適しています。
- 配線設計は入力電流の最大値で設計してください。
- 入力力率は85〜95%で高力率です。
- 消費電力が定電力形の安定器に比べ小さい安定器です。
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- HL-ネオハイドライド
- HL-ネオルックス
- 水銀ランプなど
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定電力形高力率 |
- 始動時、無負荷時入力電流が安定時入力電流以下の為、配線容量に余裕がない場合に適しています。
- 電圧電源が変動しても、ランプの全光束の変動が少ない、いわゆる定電力特性を持っています。
- 電源電圧変動の激しい工場内照明、配線中の電圧降下の激しい街路照明などに適しています。
- 電源電圧が短時間に急激に降下するような場所(例;クレーンなどを使用している工場)等に適しています。
- 入力力率は90%以上の高力率です。
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電子安定器 (電子安定器・インバータ式安定器) |
- 回路素子に半導体を用いてランプの始動に必要な高圧パルスの発振回路を備え、インバータ回路により電源周波数を短形電流の出力にしたものです。
- 小形・軽量・電力損失が少ないなど多くの利点があります。
- チョークコイルを用いた磁気式安定器に比べて、省電力、高効率、50Hz/60Hz兼用、ちらつきが感じられないなどの特長を持っています。
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安全に使用するための注意点
警告
- 点灯方向に指定のあるランプは、必ず指定方向で使用してください。
- ランプの外管が割れたものは使用しないでください。(紫外放射による目の痛み、視力障害や皮膚の炎症、火傷、またはランプの破損、落下の原因になります。)
- 一般形ランプは集魚灯用に使用しないでください。
- 取付け、取り外し、器具清掃の際は必ず電源を切ってください。
- メタルハイドランプをご使用の際は、万一のランプ破損、落下防止の場合を備えて強化ガラスを使用した密閉器具などをご使用ください。
- 適合した器具及安定器でご使用ください。
注意
- 点灯中や消灯直後暫くはランプが熱いので素手や肌では触れないでください。
- ソケットに確実に取り付けてください。
- 塗料などを塗らないでください。
- ランプから近距離の場所で長時間作業したり、ランプ光源を直視しないでください。
- 水滴のかかる場所や腐食性気体が充満している場所、粉塵の多い場所、振動の激しい場所では一般形の器具での使用はやめてください。(そうした場所専用の器具にてご使用ください。)
- 連続点灯で使用する場合はランプの異常の有無を確認する為、1週間に1度は消灯してください。
- 退色を避けたい場合はメタルハライドランプ、水銀ランプは使用しないでください。
- かなり強い光を発しますので、目の痛みや視力障害の原因になることがあります。
- 使用済みのランプは割らずに廃棄してください。
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